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執筆者の写真Kumiko Matsumoto

気持ちを聞いても教えてもらえない時は


これまでに何度か頂いた質問をご紹介します。

普段からなかなか意見が言えない子に,おにぎり顔で気持ちを聞いてみようと思ったのですが,うまくいきません。
他の子たちは,おにぎり顔を使って積極的に気持ちを伝えてくれるのですが,それを楽しそうにみているだけで,自分の気持ちを伝えようとはしません。

子どもたちの反応は,こちらの思い通りにはいきません。


うまくいかないときは,まず,その子の実態を考えます。

自分の気持ちや考えを言えない・・・というときには,主な理由として

【うまく表現ができない】場合と【表現することに抵抗がある】場合が考えられます。


自分の気持ちを【うまく表現できない】場合

【うまく表現できない】場合は,おにぎり顔を使うことで,気持ちやエピソードなど,色々なことを伝えられるようになります。(エピソードが伝えられるようになる話はまた別の記事でご紹介します)


どんな言葉を使えば良いのか漠然としていたのが,おにぎり顔という選択肢が与えられることで,表現しやすくなるのだと考えられます。


ただし,1点だけ注意が必要で,おにぎり顔は全部で41個あります。一度に全部を見せると,子どもによっては,情報が多すぎることがあります。その場合は,2択にしたり,数個だけ提示してそこから選ばせたりといった工夫が必要です。


【表現することに抵抗がある】場合

子どもたちは,それまでの生活の中で,いろいろなことを学習しています。

それは,時には大人が望まない内容であることもあります。


たとえば,いつも自分の意見は採用されないという体験を,子どもたちがいつの間にか(大人はそんなつもりではないのに)していることがあります。


ある親子のショッピング中のエピソードです。

お父さんから,好きな物を1つ買ってあげると言われた小学生の女の子。

一生懸命選び,「これがほしい!」と,かわいいポーチに決めました。

すると,お父さんは,

「そんなのはたくさん持ってるんだから,もっと必要な物を買いなさい」と答えました。

結局,彼女は買う物を見つけることができず,お父さんが選んだ物を買って帰りました。

お父さんは,「この子は欲しいものを選ぶこともできない」とがっかりされていました。


このケースのようなすれ違いは,いつでも誰にでも起こり得ます。

積み重なれば,子どもたちは,意見を言う必要がなくなります。


逆に,まだ小さいうちから子どもの意見を尊重しすぎるケースもあります。

判断基準を教えずに,

「自分で考えなさい」「自分で決めなさい」と決定権だけを与えてしまう。

この場合も,どうして良いか分からなくなり,自信が持てなくなることがあります。


【表現することに抵抗がある】状態に至るまでに,

このように様々な体験をしてきている可能性があります。


他にも,今所属している集団の居心地が悪いとか,

積極的な子が多すぎて,気づいたら遠慮してしまっているなど

いろいろな原因が考えられます。


本人が自分もおにぎり顔を選びたい!選んで伝えたい!と思うように成るのを待つしかありません。

誰もが当たり前のようにおにぎり顔を選ぶ環境を 作ったり,

大人側から,子どもたちが言われてうれしい気持ちを,おにぎり顔を使って示すようにしたり,,,

思わず,おにぎり顔を選んでしまう雰囲気になるまで,環境作りをする必要があるかもしれません。


子どもたちも,接する大人も,皆一人一人違います。

それぞれに適したおにぎり顔に使い方がみつかることを願っています。


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